子どもの「やりたい」って、ごめんけど正直めんどくさいですよね。。。
急に「これやりたい!」と言い出したかと思えば、こっちはごはん作りの真っ最中だったり、出かける直前だったり。
生活のペースが一気に崩れて、思わず「今じゃないでしょ!」と口から出そうになります。

みーちゃん、キラキラシールの絵本つくりたいのっ!いまがいいのっ!



ママ、いまカレー作ってるからあとでねって、さっきも言ってたよ。
でも、この「やりたい」は、ただのワガママじゃないかもしれません。
実は、脳と心の発達にとって、とても大切なサインなんです。
今回は、子どもの「やりたい」がどこから湧いてくるのか、脳科学や心理学の視点からその正体を一緒に考えてみましょう。
「やりたい」は脳と心からのサイン?脳科学と心理学から見る成長の芽
子どもの「やりたい!」という衝動。
それは、ただの気まぐれではなく、脳と心が発する成長のシグナルかもしれません。
ここでは、脳科学と心理学、それぞれの観点からその「やりたい」の正体をひもといてみましょう。
脳科学でわかる!子どもの“やりたい”の仕組みと成長のサイン
脳科学の視点で見ると、「やりたい!」という気持ちはドーパミンという神経伝達物質と密接に関係しています。
ドーパミンは、「うれしい」「ワクワクする」などの快感を感じたときに分泌され、「やる気スイッチ」を押す役割を担っています。
たとえば、子どもが「絵を描きたい!」「料理を手伝いたい!」と急に言い出すのは、興味関心がドーパミンを刺激しているサインです。
さらに、発達段階で特定の能力がぐっと伸びる「敏感期(感受性期)」という時期も影響しています。
たとえば、手先を使いたくなる時期には「折り紙したい」「ハサミを使いたい」といった「やりたい」が頻出します。



「やりたい」って、脳が「今がチャンス!」って教えてくれるサインだったんだね
つまり、「やりたい」は脳が今ここで学ぼうとしている合図=成長の芽。
親がそれをキャッチしてあげることで、子どもの発達を自然に後押しできるんです。
心理学で見る!子どもの“やりたい”を引き出す3つの欲求とは?
心理学、とくに発達心理学や動機づけ理論の観点から見ると、「やりたい」は、子どもの内側から湧き出る心理的な欲求の表れと考えられます。
特に有名なのが、自己決定理論(Self-Determination Theory)。
この理論では、人には以下の3つの基本的な欲求があるとされています。
欲求 | 説明 | 子どもの行動例 |
---|---|---|
自律性 | 自分で決めたい | 「自分でやりたい!」という主張 |
有能感 | 自分にはできると思いたい | 「できた!」と満足そうな笑顔 |
関係性 | 誰かとつながりたい | 「見てて!」「ママとやりたい」 |
自立心・有能感・関係性が満たされると、子どもは自発的に行動するようになります。
また、人はもともと「知りたい」「試したい」という好奇心(探究欲求)を持っています。
新しいものを見たり、大人がやっていることを観察したりすることで、「自分もやってみたい!」という気持ちが引き出されるのです。



みーちゃん、まだやったことないから、やってみたいの!
心理学的に見ると、「やりたい」は自分の力で世界を理解しようとする、自然な発達のプロセスなんですね。
このように、子どもの「やりたい」は、脳科学的にも心理学的にも非常に健全で自然な成長サインです。
「やりたい」は親への憧れ
「やりたい」の理由は、科学的なものだけではありません。
子ども自身の価値観や気持ちも強く反映されています。
たとえば、
かっこいいパパの真似をしてみたい。
大好きなママの役に立ちたい。
そんな親への気持ちも、「いまこれをやりたい!」という衝動につながっています。



ママみたいに、おみししる(お味噌汁)つくりたいの! ママみたいになりたいの!
子どもにとって、その「やりたい」は、単なる思いつきではなく、
「大人になるための第一歩」「自分らしさを形にする特別な体験」なのです。
親からすれば「いまそれ!?」というタイミングでも、子どもにとっては「今でしょ!」の大事な瞬間。
この温度差が、「やりたい」をやっかいな存在にさせているのかもしれません。
「やりたい」を応援するには?親のリアルな工夫
ここからは、「やりたい」を応援するために私が行っている工夫を紹介します。
が、その前に、大事なお話。
子どもの「やりたい」もかなえて、家事などの自分のやりたいことも完璧にこなす、というのは正直キビシイです。
きっとパンクします。
なので、今日は(も)おもちゃが散乱してるけど、楽しかったからいいよね!と割り切ることが一番大切です。
それを踏まえたうえで、工夫の紹介です!
- 反射的な「ダメ!」をこらえる
「今はムリ」と言いたくなる気持ちは当然です。
でも、まずはその気持ちをぐっとこらえて、「どうしたらできるかな?」と考えてみる。
実は、意外といけるケースも多いことに気づきます。
- 譲れないタスクを決めておく
生活の中で、「やりたい」が急に出てきても、これだけは譲れない!というタスクを決めておくとよいです。
例えば、お風呂や寝る時間など。
そうすれば、急に「やりたい!」が現れても、「洗濯物は最悪、カゴに入れっぱなしでも大丈夫でしょ!」などと柔軟に対応しやすくなります。
- 一緒にやる方法を見つける
たとえば、夕飯づくり中に「やりたい!」が来たときは…
✔ 味噌汁の具を1種類にして、子どもと一緒にご飯を作る時間を確保する
✔ メニューを”野菜炒め”から”レンチン蒸し野菜”にするなど、子どもでも作れそうなメニューに変更する
など、「親のやること×子どものやりたい」を重ねる発想が有効です。



ボク、にんじん切る係やるよ!そのかわり、ママはじゃがいもの皮むいてね!
子どもの心を傷つけない、「今は無理」の伝え方
もちろん、どうしても今はできない!ということもあります。
そんなときは、誠実な対応が大切です。
• 「今は〇〇しているから、できないんだ」と理由を説明する
• 「明日の夜なら一緒にやれるよ」と代替案を提案する
• そして、約束を必ず守ること!



ママが「明日やろうね」って言って、ほんとに明日やってくれたら…すっごくうれしい!
子どもは、大人が思っている以上に約束をよく覚えています。
子どもの「やりたい」を大切することで、親子の信頼関係も深まっていくのです。
終わりに 〜「やりたい」は未来をつくる原動力〜
子どもの「やりたい」は、成長のチャンスの合図であり、将来、自分で人生を切りひらく力の“もと”になります。



「やりたい」って、未来のボクができるようになるための種なんだね!
大人から見れば厄介に思える瞬間もありますが、その裏には「やってみたい」「できるようになりたい」「大人みたいになりたい」といった、たくさんの想いがつまっています。
毎回すべてに応えるのは難しいかもしれません。
でも、反射的に否定するのではなく、「どうしたら応えられるかな?」と一瞬立ち止まること。
それだけでも、子どもは「大事にされている」と感じ、自分の気持ちを大切にできるようになっていきます。
やりたいを応援することは、子どもの未来を耕すこと。
そして、親自身も「柔軟に生きる力」を育て直すことかもしれません。
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